サンフランシスコで founder たちとすれ違っていると、AI の使い方が ambient な空気になっているのが分かります。マーケも、セールスも、CFO 業務も、リサーチも、議事録も、意思決定ログも、もう AI で再設計されていない workflow を持っている founder のほうが少数派のようにさえ感じます。
ところが、バイオの創業者だけは、なぜかこの空気から少しずれた場所にいることがある印象を受けることもあります。
このエッセイは、その違和感の話と、なぜ私がいま TaxaOS という AI インフラを作っているか、についてのものです。
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**福永 祐一(Yuichi Fukunaga)Taxa Technologies 共同創業者取締役。**大阪府出身。奈良県・西大和学園高等学校卒業。慶應義塾大学経済学部に半年間在籍後、アメリカ・ウィリアムズ大学に進学(心理学・神経科学専攻)。卒業後、ドイツ・マックスプランク脳科学研究所博士課程に飛び級入学・中途退学し、現在に至る。『Taxa』は皮膚マイクロバイオーム研究を通した消費財、医薬品の開発に取り組む、アメリカ・サンフランシスコ拠点のバイオベンチャー。https://yuichifukunaga.com/
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日本でのオフサイトも開催しました🇯🇵

この2年半、前回の note(「シリコンバレーで創業して2年、バイオベンチャーのいま。」)を書いた時から、また少しだけ景色が変わっています。
主軸の主張は、ひとつです。
バイオの創業者だからこそ、AI による生産性革命を逃すわけにはいかない。
そしてシリコンバレーは、その革命を最も濃く吸い込める場所であり続けています。「マーケットアクセスのために」ではなく、「でかい夢を投げる空気の密度」のために。
前回 note を書いた頃、私は資金調達環境を「スタートアップ冬の時代」と表現しました。あれから2年半、状況はもう少し複雑になっています。
世界のバイオテック VC 投資は、2021年に $53.9B のピークをつけた後、2023年に約 $24B までほぼ半減。2024年に一瞬持ち直し、しかし 2025年には biopharma 全体の調達が再び 20% 減って $82B、IPO 額は過去10年で最低水準($3B) に落ち込みました(PitchBook / NVCA, Fierce Biotech, IQVIA 集計)。
冬の時代は終わっていません。むしろ「冬 → 偽の春(2024) → 再寒波(2025)」という、より残酷な W 字の只中にいます。

ところが、その同じ期間に、研究の足元では別のことが起きていました。
2024年5月、Google DeepMind と Isomorphic Labs が AlphaFold 3 を Nature に発表し、タンパク単独からタンパク + DNA + RNA + 小分子 + 翻訳後修飾までの複合体予測へと一気に踏み込みました。同年6月、EvolutionaryScale が98Bパラメータの ESM3 を $142M シードと共に公開。2024 年は、後から振り返れば「foundation models for biology が現実の道具になった年」と呼ばれるかもしれません。